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2021年09月04日

サイディングにコーキング(シーリング)工事の注意点やメンテナンス方法の解説

サイディング外壁のボードとボードの間にできた隙間や、開口部にはめ込んだサッシ廻りなどに充填する合成樹脂のことをコーキングやシーリングといいます。コーキングとシーリングの違いはなく、ほぼ同義語として使用されています。特に窯業系のサイディングボードには必ずと言っていいほど、このコーキング(シーリング)が施工されていて、気密性や水密性、防水性などを目的としています。気温や湿度および台風、地震などの外的要因でサイディング外壁は伸縮を繰り返し、振動で揺れるために、この動きに追随するコーキング(シーリング)は大変重要な施工になります。又、逆に言えば、コーキング(シーリング)の経年劣化による剥離や欠落が原因で雨漏りなどのトラブルを引き起こす場合があります。ここではコーキング(シーリングの)工事工程や手順、施工方法などを写真を使って説明していきます。
下の写真は西面に向いた窯業系サイディングボードです。西面は広い駐車場になっている為、日光を遮るものが何もなく、日々西日にさらされコーキング(シーリング)は剥離や欠落がひどくサイディング外壁も表面の防水性能が低下し、ひどいチョーキング現象を起こしています。赤〇で囲んだ個所が特にひどく、まずその部分の改修処理の説明をします。
サイディングのコーキング(シール)工事前
先ず最初に上部の赤〇の部分です。下の拡大した写真を見ていただけるとコーキング(シーリング)材が完全に剥離して、内部の青いボンドブレーカーまで見えているのがわかると思います。これでは吹き降りの雨の場合、剥離ヶ所から簡単に雨水が建物内部に侵入してしまいます。通常サイディング外壁の裏にまわった雨水は2次防水の透湿性防止シートを伝って外部に排出される仕組みになっていますが、写真のように目地がサッシ上部にあたっている場合、建物の建築時にサッシ廻りの透湿性防水シートの端部を止水テープなどで止めていないと、雨漏りなどのトラブルにつながる場合があります。

サイディングのコーキング(シール)工事前
サイディングのコーキング(シール)工事前

下の写真は別の現場の写真になりますが、サイディング目地のコーキング(シーリング)が完全に欠落していて、屋根裏から見てみると長年雨水が入り込み、透湿性防水シートにひどい雨浸みが出来ていました。このように目地から内部に雨水が入ったとしても、透湿性防水シートが破れていたり、破損していない限り、通常は外部に排出されますが、雨水が流れ落ちる先に開口部のサッシがあると、雨水が部屋内部にまわる場合もあるので、サイディングボードの目地がサッシ上部やサッシ側面を通っている場合、コーキング(シーリング)の欠落や剥離は要注意です。

通気工法雨漏れ
通気工法雨漏れ

次に最初の写真の左側上部の赤〇部分です。こちらはコーキング(シーリング)の欠落がひどく、完全に両側が剥離数本が欠落しています。コーキング(シーリング)の油分がなくなり硬化し収縮することで密着性能も完全になくなり、このように自然と落ちていきます。この状態はコーキング(シーリング)のメンテナンスの時期をかなり超えた状態になります。この状態をさらに放置した場合、サイディングボード自体が浮いたり反ったりし、元の状態に戻らなくなる場合があります。
サイディングのコーキング(シール)工事前
下の写真は窯業系のサイディング外壁材のカットサンプルです。当然表面は工場できっちりと防水塗装が施されていますが、裏面や側面の切り口はスレートのままです。スレートは吸水性があるため、目地からサイディング裏面にまわった雨水を吸水するため、吸水と乾燥を繰り返すことで、ボード自体が反ったり、浮いたりすることがあります。この場合塗装前にビスで押さえて出来るだけフラットにしてから塗装しますが、浮きや反りがひどい場合、無理に抑え込むとサイディング自体が破損するため、浮いたり反った状態で塗装しないといけない場合があります。コーキング(シーリング)の欠落が起きる前に、出来るだけ早くメンテナンスすることが大事です。

サイディング表面
サイディング裏面

上部右下の赤〇の部分です。コーキング(シーリング)が欠落しているだけでなく、ハットジョイナーのボンドブレーカーまで剥離してしまっている箇所があります。ボンドブレーカーとはサイディング目地のコーキング(シーリング)改修時に、3面接着にならずに、2面接着で仕上がるようにするために大変大事な部材です。

サイディングのコーキング(シール)工事前

下の写真は窯業系のサイディングボードの構造写真になります。
サイディングの構造
窯業系のサイディング目地のコーキング(シーリング)施工の図1の2面接着と図2の3面接着の違いは、文字通りコーキング(シーリング)の接着面の違いです。普通接着面の多いほうがきっちりと施工されていて耐久性も高く感じられると思いますが、特に木造建築のサイディングの目地の場合、建物の捻じれや振動、収縮などの動きに追随しないと剥離しやすくなります。左右、目地底まで密着した3面接着の場合、建物の動きに追随できなくて剥離しやすく、逆に左右のみの2面接着であれば、建物のねじれや振動、揺れなどに強く、追随しやすいので、窯業系のサイディング外壁の目地の施工は2面接着が基本です。逆にマンションなどの鉄筋造りのあまり揺れなく、ほとんど動かないようなタイル外壁などの目地の施工は3面接着で施工されています。

コーキング(シーリング)2面接着
コーキング(シーリング)3面接着

上部写真の右下赤〇部分です。サイディングがかなり浮いているのがわかると思います。このように雨水の吸水、乾燥を繰り返すことで、サイディングボードが浮いたり、反ったりすることがありいます。この場合ビス打ちで押さえてから塗装しますが、あまりひどいと無理に押さえた場合サイディング自体の破損につながる場合があります。

サイディングのコーキング(シール)工事前
サイディングのコーキング(シール)工事

続いては別の個所の問題点や注意点になります。今回施工した建物のサイディング目地のコーキング(シーリング)充填量が極端に少ない箇所がありました。少ないというか、少なくして(薄く)充填している箇所が複数あり、目地にわざわざバックアップ材を詰めてコーキング(シーリング)の充填量を少なく施工している所もありました。目地の深さが8mmくらいあるので通常問題なくそのまま施工出来るのですが、厚み6mmくらいのバックアップ材を詰め、約2mm位の厚みしかコーキング(シーリング)を充填していない為、紫外線の影響で早期に粉上に劣化したと思われます。当然これでは水密性や気密性を確保出来ない為、今回の改修では、このような所は全てバックアップ材を撤去し、キッチリと厚みを付けコーキング(シーリング)材を充填し、打ち替えで施工しています。

コーキング(シール)バックアップ材
コーキング(シール)バックアップ材

続いてサッシ廻りのコーキング(シーリング)の充填量についてです。サッシ廻りには、新築時は基本的にバックアップ材を入れて施工するのが通常の施工の仕方なのですが、改修現場でよく見るのが、かなり厚みのあるバックアップ材が入っている為、目地と同じくコーキング(シーリング)の充填量が少なく、こちらも厚みが2mm程度しかなく、改修時には経年劣化で粉上になり、所々バックアップ材が見えているような状態の建物をよく目にします。サッシ廻りのコーキング(シーリング)については2mm程度のコーキング(シーリング)を撤去して打ち替えても、再度2mmの充填では意味をなさないので、当社では通常耐久性が確保出来る厚みを充填出来れば、三角シールで増し打ちで施工しています。

サイディングのコーキング(シール)工事
サイディングのコーキング(シール)工事前

コーキング(シーリング)の打ち替えと増し打ちの違いは、既存のコーキング(シーリング)材を撤去し施工するのか、既存のコーキング(シーリング)材の上から施工するかの違いです。特にサイディングの目地は必ず打ち替える必要があります。サッシ廻りなどは三角シールで十分に厚みを付けて、耐久性を確保して施工できますが、目地の場合増し打ちで施工すると、充填できる厚みが約1mm位しかなく、必ず耐久性に問題が出ます。

コーキング(シーリング)打ち替え
コーキング(シーリング)増し打ち

続いて今回施工した建物のサイディングのコーキング(シーリング)工事の施工手順や工程を説明していきます。先ず、エアコンと室外機をつないでいるホースカバーの脱着です。ホースカバーの裏側にもサイディング目地が通っている場合があり、又、塗装時も裏側をキッチリと塗装出来るようにエアコンと室外機をつなぐホースカバーは脱着します。

エアコンカバー脱着
エアコンカバー脱着

同じようにベランダテラスのアクリル板を、軒天の塗装やサイディングと軒天の取り合いのコーキング(シーリング)施工をするのに脱着しました。又、ベランダの飾り格子もコーキング(シーリング)する為に脱着しています。

ベランダアクリル板脱着
ベランダアクリル板脱着
面格子脱着
面格子脱着

続いて浮いたり、反ったサイディングを押さえるためにサイディングをビス止めします。反りや浮きがひどい場合、無理にビスで押さえるとサイディングを破損させる事があるので、慎重にビスを打ち込みます。

サイディング浮きタッピング
サイディング浮きタッピング

続いて、サイディング目地のコーキング(シーリング)部分とボードの取り合いに、カッターで切り込みを入れてコーキング(シーリング)を撤去しやすくしてから撤去します。目地部の既存のコーキング(シーリング)は全て撤去し、打ち替えで施工します。

コーキング(シール)カッター入れ
コーキング(シール)カッター入れ
コーキング(シール)撤去
コーキング(シール)撤去

下の写真はサイディングのコーキング(シーリング)撤去後の写真になります。目地の撤去時の注意点は、ボード側に出来るだけコーキング(シーリング)が残らないように撤去することが重要です。

コーキング(シール)撤去後
コーキング(シール)撤去後

続いてボンドブレーカーの貼り付けです。コーキング(シーリング)の撤去時に古いコーキング(シーリング)に張り付いて、ボンドブレーカーが剥離する場合があります。又、今回の現場でもあるように欠落したコーキング(シーリング)部分が強い太陽光の紫外線などの影響により、すでに剥離している場合があり、このままコーキング(シーリング)を充填すると3面接着になるため、ボンドブレーカーの剥離部分には新しくボンドブレーカーを貼り付けます。下の写真は施工時には経年劣化でボンドブレーカーが剥離していた個所に新しくボンドブレーカーを貼り付けている写真です。

サイディングのコーキング(シール)工事前
ボンドブレーカー貼り付け

下の写真はコーキング(シーリング)撤去時にボンドブレーカーが剥離した箇所に、新しくボンドブレーカーを貼り付けている写真です。

ボンドブレーカー貼り付け
ボンドブレーカー貼り付け

次の工程は養生になります。施工箇所でないサッシや外壁に、コーキング(シーリング)が付かないように専用のテープで養生します。下の写真は実際に養生している写真です。

サイディング養生
サイディング養生

次の工程はコーキング(シーリング)施工箇所のプライマー塗布になります。施工面にコーキング(シーリング)の密着性を高めるための工程です。プライマー塗布を手抜きすると、早期の剥離などのトラブルにつながります。

プライマー塗布
プライマー塗布

次の工程はコーキング(シーリング)材の充填作業になります。空気が入らないようん慎重に充填していきます。

オートンサイディングシーラント充填
オートンサイディングシーラント充填
オートンサイディングシーラント充填
オートンサイディングシーラント充填

今回使用しているコーキング(シーリング)材はオートンサイディングシーラントです。オートンサイディングシーラントは高耐久なサイディング専用のコーキング(シーリング)材です。
オートンサイディングシーラント
次の工程は充填したコーキング(シーリング)材のならしです。専用のへらなどを使って仕上げます。

コーキング(シール)ならし
コーキング(シール)ならし

最後の工程は、養生のめくりになります。養生テープについたコーキング(シーリング)がサッシや外壁を汚さないように慎重にめくっていきます。

養生めくり
養生めくり

下の写真は今回施工したコーキング(シーリング)改修工事の完成写真になります。

サイディングにコーキング(シール)完成
サイディングにコーキング(シール)完成
サイディングにコーキング(シール)完成
サイディングにコーキング(シール)完成

サイディング外壁のコーキング(シーリング)改修工事については下の動画もぜひご参考にしてください。

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