ペイント一番「作業日記」
塗装後に起きるブリード現象(塗膜汚染)の原因と対策について
外壁塗装後の塗膜汚染による外壁のよごれについて
外壁の塗装後数年で、外壁に縦や横に黒く汚れた筋ができる場合があります。雨染みが原因の場合もありますが、コーキングによるブリード現象が原因の場合もあります。サイディングやALC外壁の改修時、通常塗装工事よりも先にコーキング改修し、後に塗装しますが、その時に使用したコーキング(シーリング)材が塗料と反応し、塗膜を汚染することでこのような汚れを発生させる場合があります。これではせっかく綺麗になった外壁が台無しになってしまいます。ここでは出来るだけこうならない塗装工事の手順を書いていきます。下の写真はALC外壁の目地のコーキング部分がブリード(汚染)現象で真っ黒に汚れた外壁です。建築時に施工したコーキング材の縦目地や横目地全てがブリードによる汚れだと思われます。
ブリード現象とは
ALCやサイディング、モルタル外壁に施工された「可塑剤」を含むコーキング(シーリング)材の表面や付近の塗装面に黒ずんだ汚れが浮き出てくる事があります。このような現象をブリード(汚染)現象といいます。
なぜこのような現象が起こるかというと、コーキング(シーリング)材と上塗り塗料との相性などもありますが、大部分の原因はコーキング材に含まれる可塑剤が原因です。この可塑剤が塗装後に塗膜を汚染し、粘性のある可塑剤が塗膜表面に出てくることで、大気中の埃や油分を含んだチリなどが付着することが黒ずみの原因です。
可塑剤とは
可塑剤とはどのような物質かといいますと、添加剤の一種でプラスチックなどの基材となる材料に添加する事で、その物質に柔軟性を持たせる添加剤のことです。身近な製品でいうと、輪ゴムなどのも可塑剤を添加する事で柔軟性を持たせています。又、外壁塗装の関連で例を挙げると、定形型のガスケットや不定形型のコーキング材がその代表になり、クラックなどにもよく追随する、上塗りのゴム系の単層弾性系仕上げ塗材なども可塑剤を添加して弾性機能を持たせています。
下の写真は定形型のコーキング材、ガスケットの写真です。ガスケットはあらかじめ施工する箇所に応じて、決まった形のものをを施工する場合のコーキング材で、柔軟性を持たす為に可塑剤が添加されていて、このまま塗装した場合ブリード(汚染)を起こす可能性があります。
下の写真は不定形型のコーキング材を施工している写真です。不定形とは形が決まっていないので、施工する目地や隙間などの形に応じて自由に施工できるメリットがあります。
ブリード現象を起こしにくい施工とは
それではブリード現象を起こしにくい施工方法の説明です。
まず、基本中の基本はコーキング(シーリング)施工後に上から塗装する場合は、ノンブリードタイプ(NB)のコーキング材を使用することです。ノンブリードとはブリード(汚染)を起こさないという意味で、ブリード(汚染)の原因になる可塑剤が入っていないか、極少量しか入っていないコーキング材のことです。それともう一つは、すでに汚染されている箇所にはあらかじめ日本ペイントの「ブリードオフプライマー」を塗布してから、上塗り塗装をすることです。*絶対にブリード(汚染)が起きないわけではありません。
下の写真はブリードを起こしにくいノンブリード(NB)タイプの非汚染コーキング材と可塑剤の添加された変性シリコンのコーキング材です。どちらもホームセンターなどで販売せれているコーキング材で、もしご自宅をDIYでモルタルのクラックやサイディングの目地を補修で使用する場合、コーキングの上から塗装する場合はノンブリードタイプを、上から塗装しない場合は変性シリコンタイプを使用すればいいと思います。
ブリード(汚染)現象とは違いますが、DIYでご自宅の外壁などを補修する場合、下の写真にあるシリコーンシーラントは避けてください。こちらのコーキング材もホームセンターで販売されていて、尚且つ安価なのでつい手に取ってしまいがちなのですが、施工してしまうと変性シリコンのコーキング材よりも厄介で、上から塗装しようとしても塗料を弾くため、塗装が出来なくなる場合があります。又、その周りも撥水汚染されるため、広範囲で塗料が乗らなくなる場合があります。
ブリードオフプライマー
緻密性が高いので、各種シーリング材に含まれる可塑剤の移行による粘着・汚れ防止に高い効果が得られます。
幅広いシーリング材に適用できます。
各種仕上げ塗材との密着性に優れています。
下の写真はガスケット目地に、ブリードオフプライマーを塗布中・塗布後の写真です。