ペイント一番「作業日記」
コーキング劣化の対処法や補修時期の目安やDIYの工事手順について
コーキングとは、建物の外壁材の目地やサッシ廻りなどの開口部の隙間や入り隅、軒天井の取り合いなどに充填するパテや合成樹脂などをコーキングといいます。
(コーキングとシーリングには大きな違いがないので、ここではコーキングで統一して書いて行きます。)
コーキング材の施工目的は主に建物の水密性や防水性、気密性などを目的として施工されています。逆に言うと、コーキングが劣化すると、防水性や水密性などが確保されないという事で、コーキングの劣化が原因でサイディングの浮や反り、ひどい場合は雨漏りを引き起こす事例があります。
では、どのような状態でそのような事例を引き起こすのか写真を使ってわかりやすく説明したいと思います。
コーキング施工箇所
一口にコーキングといっても、ご自分のお住いの建物の何処に施工されているのか、なかなかわかりずらいと思います。おそらくサイディングの継ぎ目の目地はご存じだと
思いますが、実は至るところにコーキングは施工されていて、経年劣化で雨漏りのリスクがあります。下の写真はコーキングの施工箇所の一例です。緑色のマスキングテープで養生している箇所すべてコーキングが施工してある箇所です。
コーキングの剥離
サイディングボードとコーキングが完全に分離してしまっている状態です。コーキングが早期に剥離する一番の原因は施工時のプライマーの塗布量が不足していた場合や経年劣化で、振動や建物の歪にコーキングが追随出来なくなった場合などです。又、3面接着で施工されていた場合も剥離しやすくなります。
下の写真はサイディング目地のコーキングが剥離している写真です。
コーキングの破断
コーキングの中央付近で両端に引っ張られるように引き裂かれた状態を破断といいます。
原因は施工時に十分な厚みを付けずに施工した場合や、経年劣化によりコーキング材の寿命の場合が考えられます。
下の写真はコーキング材が破断した状態の写真です。
コーキングの欠落
コーキング材が完全に硬化し、建物の振動や捻じれなどに追随出来なくなり、落下してしまった状態です。こちらもコーキング材の経年劣化による寿命で、しかも寿命が来て、かなりの年月が経っていると思われます。コーキングの欠落は、劣化の中で最も悪い状態で、雨が降るごとに雨水が目地から侵入し外壁裏にまわる為、サイディングの浮きや反りの原因になるばかりではなく、透湿性防水シートの劣化の促進や雨漏りの原因を引き起こす場合もあります。
コーキング材には柔軟性を保つために、可塑剤が添加されています。可塑剤は紫外線に弱く、コーキング材の耐用年数は7年~10年位だといわれています。
では、上記のような症状がご自宅で起きた場合、どのような補修をするのか、DIYでご自分で補修する場合の工程や手順、対処法などぜひご参考にしてください。
現況のコーキング撤去・清掃
現況の古いコーキング材をカッターで切り込みを入れて撤去していきます。きっちりと2面接着で仕上げているコーキング材は、切り込みを入れると、ラジオペンチなどで簡単にはがせます。又、目地に残った古いコーキング材は、再度カッターを入れて出来るだけ取り除いて、ラスター刷毛などで埃を除去します。
サイディング目地の中には金属製のハットジョイナーが入っている為、内部の透湿性防水シートを傷つける事はありません。
*古いコーキング材が硬化不良を起こしていた場合、目地をシンナー等で必ず清掃してから次の工程に移ります。
コーキング撤去時にボンドブレーカーが剥離した場合の対処法
古いコーキング材を撤去している時に、青いボンドブレーカーまで剥離してしまう事があります。このまま施工した場合、3面接着で仕上がってしまうため、必ずボンドブレーカーを貼りつけてからコーキング材を充填します。ボンドブレーカーはホームセンターなどでは販売されていないので、手に入らない場合はマスキングテープでも代用できます。
*ボンドブレーカーはコーキング材を2面接着で仕上げる為の大切な部材なので、ボンドブレーカーがはがれた箇所は必ず新しくボンドブレーカーを貼る必要があります。
2面接着については下のリンク先をぜひご参考にしてください。
サイディングのコーキング目地の2面接着と3面接着の違い
サイディングボードの目地のバックアップ材について
新築時コーキング材を施工するとき、サイディング目地にバックアップ材を入れてコーキング材がわずか1mm~2mm位の厚みの施工をしている場合があります。材料を減らす目的なのか理由はわかりませんが、これでは適切な厚みを確保できません。通常、コーキングの充填量は幅10mm厚み10mmの施工が適切な施工だといわれています。このような場合、コーキング材のみ撤去して打ち替えたとしても、新しく充填できる量はわずかしかないので、バックアップ材事撤去し、新しく充填するコーキング材の厚みを確保して施工します。
*この時バックアップ材の下にボンドブレーカーがあるか確認してからコーキング材を充填します
サッシ廻りのコーキング材の増し打ちについて
サッシ廻りには新築時コーキング材を施工する前に、バックアップ材が入れられている場合が多く、それ自体が悪いわけではないのですが、現場でコーキングの厚みが1mm~2mm位しか充填されていないサッシをよく目にします。そのような場合、打ち替えで施工した場合、1mm~2mmのコーキング材を撤去し、新しく打ち替えたとしても十分に厚みを確保することが出来ないため、三角シールで厚みを十分に確保して施工したほうが耐久性も上がる場合があります
*サッシ廻りのバックアップ材は撤去すると、隙間が大きく材料が際限なく入り、充填後にならす事が出来なくなるため、三角シールのほうが適切な場合があります。
浮いたサイディングボードの補修(タッピング)
サイディングの目地のコーキング劣化が原因でボード裏に雨水が廻りボード自体が浮いたり反ったりする場合があります。その場合インパクトドライバーなどを使って、浮いたり反ったりした個所をビス止めします。その時、サイディングボードを破損させないように細心の注意を払って施工します。
養生
コーキングの施工部以外に材料がつかないように、専用のテープで養生します。
養生で使用するマスキングテープは色により粘着性や素材が違います。施工する基材(サイディングやモルタルなど)にあったマスキングテープを使用します。コーキングの養生は、基本建物下から左回りで上部に向かって養生して行き、はがす場合はその逆で、建物上部から右回りで下に向かって剥がしていきます。
*夏場など長期間サッシなどにマスキングテープを貼ったままにすると、粘着剤がサッシに残り汚れの原因になります。
プライマー塗布
サイディングボード目地とコーキング材を、きっちりと密着させる為の接着剤の役割を果たす材料をプライマーといいます。プライマーを塗布せずに施工した場合や、塗布量が不足していた場合は、早期の剥離などのトラブルの原因になる場合があります。
*コーキング材にはウレタンやシリコーン、変性シリコンなど種類があります。必ず使用するコーキング材にあったプライマーを使用しなければいけません。
コーキング材の充填
コーキング材を専用のガンで目地やサッシ廻りに充填していきます。出来るだけ厚みをつけて充填します。
*コーキング材を充填するとき、内部に空気が入らないように細心の注意をしながら充填します。
コーキングならし
専用のヘラやバッカーで充填したコーキングをならして行きます。最初は多めに充填した余分な材料を取り除きながら、数回に分けて丁寧にならして行きます。
*ならしは仕上げなので、雑にすると段差などが出来て仕上がりが汚くなります。
養生めくり
最後にマスキングテープを剝がし、完成となります。剥がす際にマスキングテープに付いたコーキング材が、外壁やサッシにつかないように注意して剥がしていきます。
*コーキング材が完全に乾燥してから養生を捲ると、コーキング材とマスキングテープが一体化してしまい、きちんと剥がすことが出来なくなる為、必ず乾燥する前に剥がすことが重要です。
サイディング外壁にコーキング工事完成写真
コーキング工事施工動画
コーキング工事の施工動画です。ぜひご参考にしてください。