モニエル瓦屋根塗装について-塗膜剥離などの注意点
モニエル瓦について
ここでは乾式洋瓦(モニエル瓦、クボタ洋瓦、スカンジア瓦)の屋根材で、失敗しないための塗り替え塗装のご紹介をしたいと思います。
モニエル瓦は、塗装後の塗膜剥離のトラブルが非常に多い瓦です。一昔前は塗装出来ない瓦だといわれていましたが、近年モニエル瓦専用の塗り替え塗料なども出てき、施工方法なども確立してきたこともあり、以前では高額な屋根の葺き替え工事で対応していたのが、近ごろでは塗り替え塗装で対応できるようになりました。とはいっても、いくら専用の塗料が出来ても、高圧洗浄など下地調整に手を抜くと早期の塗膜剥離を起こす厄介な瓦には違いありません。
以下は、当社でのモニエル瓦の塗り替え塗装を、動画や写真を使って出来るだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
こちらの写真は塗装前のモニエル瓦です。
こちらの写真は塗装後のモニエル瓦です。
モニエル瓦とコンクリート瓦の違い
モニエル瓦とは、コンクリートを基材にスラリー層(着色セメント)で着色し、クリヤーのトップコートで保護されたコンクリート瓦の事です。よくセメント瓦と間違われることがありますが、通常セメント瓦にはスラリー層は無くコンクリートのように砂利を含まないので小口が平らになっています。
モニエル瓦とセメント瓦の一般的な見分け方として、モニエル瓦はコンクリートでできているので小口の切り口が写真のようにギザギザになり、セメント瓦の小口の切り口は真っ平な切り口になります。
この時点で間違った塗料の選択で塗装後のトラブルにつながることもある様です。
こちらの写真はモニエル瓦の小口です。
コンクリートで出来ているので小口がデコボコしています。
こちらの写真はセメント瓦の小口です。
セメントで出来ているので小口は平らです。
モニエル塗装後早期の塗膜剥離する原因
ここではカラーベスト屋根などの塗装と違って、モニエル瓦の塗装では何故ここまで塗装後の早期塗膜剥離を強調しないといけないかを説明いたします。
塗膜剥離の一番の原因はモニエル瓦に色付けしている着色顔料のスラリー層に原因があります。スラリー層とは、コンクリート基材の瓦の表面を約1mmで覆っている着色顔料の事で、その上をクリヤー塗装でスラリー層などの表面を保護しています。このスラリー層を保護しているクリヤー塗装も10年もすると経年劣化で、ほぼ無くなり脆弱なスラリー層がむき出しになります。
このスラリー層が非常に脆弱で、どれほど弱いかというと指で少しこすった程度でも粉状になり基材のコンクリートから剥離してしまうほどの弱さです。この屋根全体を覆っている脆弱なスラリー層を丁寧に高圧洗浄などで出来るだけ取り除かないといけません。
もしモニエル瓦の知識がなく、またあったとしても下地調整や高圧洗浄を雑にして剥き出しになったスラリー層の上から塗装してしまうと、コンクリート基材とスラリー層はほとんど密着していないのでスラリー層から塗装した塗膜ごと剥離してしまいます。
築13年のモニエル瓦屋根の動画です。
指でこするだけで着色スラリーが粉状に剥離していくのがよくわかると思います。
他店の塗装業者でのモニエル瓦の塗装後7年が経過した屋根です。
ホームページから塗り替えのお問合せで頂き現地調査いたしました。塗膜剥離が激しく、前回の塗り替え時に高圧洗浄を丁寧に行わず着色スラリーをほとんど洗い流していなかった様です。
塗膜剥離した跡を指で擦ると、やはり着色スラリーが粉状に剥離しました。
こちらの写真は、塗装施工現場の隣の奥様に屋根の塗装が剥がれてきたとご相談されました。聞くと塗装後2年位から剥がれだして、塗装してまだ5年もたっていないとのことでした。おそらく塗装された業者さんは、モニエル瓦の知識がほとんどなく塗装されているようでした。
こちらの写真にもあるように、少し擦っただけでスラリーが山のように残っていました。今回ご縁もあって当社で再度塗り替えすることになりました。
塗装後の塗膜剥離を起こしているモニエル瓦屋根の写真です。
こちらの写真は剥離した塗膜です。
このように塗装した塗料が基材のコンクリートまで浸透せずスラリー層で止まる事が、この様な剥離の原因になります。
こちらの写真にあるように、右側の緑色のマジックロンで少しこするだけで、着色スラリーが山のように出てきます。
前回の塗装時に高圧洗浄で殆どスラリー層を取り除いていなかったようです。この屋根全体を覆っているスラリーを出来るだけ丁寧に取り除かないとこのような塗膜剥離の原因になります。
今回は、ディスクサンダーで旧塗膜を取り除いています。
通常このような方法はとらないのですが、今回脆弱なスラリー層の上に塗装された塗膜も取りのぞかないといけないので、ディスクサンダーやマジックロン、ワイヤーブラシと高圧洗浄の両方で下地処理しました。
こちらの写真は、ディスクサンダーで旧塗膜を取り除いています。高圧洗浄機では旧塗膜と着色スラリーを取り除いています。圧力を目いっぱい上げ出来るだけ近づけて洗い流しました。
こちらの写真は、高圧洗浄後の写真です。
ほぼ旧塗膜と着色スラリーを取り除きました。今回の下地処理は旧塗膜もあったので、通常の3倍の時間がかかりました。
こちらの写真はモニエル瓦塗装後の写真です。
使用塗料は水谷ペイントのスラリー強化プライマーの上にシリコン樹脂塗料で仕上げました。モニエル瓦塗装の場合、水谷ペイントさんのスラリー強化プライマーは自信をもってお勧め出来る塗料の一つです。
モニエル瓦に使用できる塗料
モニエル瓦に使用できる塗料は、以前はそう多くは在りませんでしたが、近年各メーカーがモニエル瓦にも対応した塗料を出してきています。当社では実績のある「オリエンタル塗料工業のマイティーシリコン」か「水谷ペイントのスラリー強化プライマー+上塗りに同じく水谷ペイントの水系塗料」か、当社でよく使用する「遮熱・断熱塗料のガイナ」で塗装しています。この塗料では塗装後のトラブルが多いと言われるモニエル瓦の塗装で今まで全くトラブルは在りません。
平板のモニエル瓦にオリエンタル塗料工業のマイティーシリコンを塗装した動画です。
波形のモニエル瓦に下塗りに「水谷ペイントのスラリー強化プライマー」、上塗りに「日進産業の遮熱・断熱塗料のガイナ」を塗装した動画です。
モニエル瓦の葺き替え例
モニエル瓦は既に製造されていない瓦なので、瓦の経年劣化がひどい場合や、その他不具合がある場合は塗装よりも葺き替えがいい場合があります。こちらの写真は瓦の経年劣化がひどいのもありましたが、棟も崩れていたので当社で金属瓦に葺き替えした施工例です。葺き替えと同時に雨樋も交換しています。
モニエル瓦塗装施工例
こちらの写真はモニエル瓦塗装の施工事例です。使用塗料は「オリエンタル塗料工業のマイティールーフ」です。マイティールーフはモニエル瓦塗装の専用の塗料です。