コーキング(シーリング)のメーター数
コーキング(シーリング)とは、
建物の外壁材と外壁材の間に出来た隙間や、外壁開口部分にはめ込んだサッシなどの隙間に充填するパテや合成樹脂などをコーキング(シーリング)と言い、気密性・防水性・または水密性などを目的として使用します。
当然、防水性などを目的としているため、経年劣化などで破断や剥離した場合は雨漏れなどのトラブルの原因を引き起こす場合があります。また、戸建住宅によく用いられる窯業サイディングボードは必ずこのコーキング(シーリング)材を使用しており、サイディングボードは気温や湿度などの外的要因で伸縮したり、地震、台風、車による振動で動くため、この動きに追随するコーキング(シーリング)材は非常に重要な材料です。
窯業系の外壁サイディングボードの事を、多くの住人の方はメンテナンスフリーもしくはメンテナンス事態全く考えもつかないと思います。多くはご近所で同じ時期に建った家が塗装し始めたり、訪問販売業者などの営業マンにコーキング(シーリング)材の劣化や、サイディングの浮き、チョーキング現象などを指摘されて、初めてご自分の家のメンテナンスを考え始める方も多いと思います。
外壁サイディングボード自体の浮き、反り、塗膜の剥離、チョーキング現象、コケやカビ、汚れの付着、コーキング(シーリング)の劣化、サイディングボード自体のヒビ割れなどが見受けられたら、そろそろメンテナンスの時期と考えて差し障りは無いと思います。
以上のような劣化状況を放置すると、表面塗膜のメンテナンスでは済まなくなり、サイディングの基材まで劣化が進行する場合があります。また、防水塗装する場合は、劣化状況やサイディング下地にあった塗料を適切に選択しないと、後々塗膜剥離などのトラブルにつながる場合があるので、専門業者とよく相談の上ご検討してください。
窯業系サイディングボードの建物には気密性・水密性・防水性などを目的として、必ず施工されているコーキング(シーリング)材ですが、逆に言えばコーキング(シーリング)材が、経年劣化で不具合が出ると、気密性・水密性・防水性が保てないという事です。それくらい重要なコーキング(シーリング)工事ですが、窯業系サイディングボードの外壁材を使用した建物に、どれくらいのメーター数コーキング(シーリング)材が使用されているか、どのような種類のコーキング(シーリング)材が使用されているのか、ほとんどの方はご存知ないと思います。
ここでは、建物1軒にどれくらいのメーター数のコーキング(シーリング)材が使用されているか、実際施工した現場写真で、可視化したいと思います。
実際に施工する前の一戸建ての家です。
こちらの写真を見ても、どのあたりにコーキング(シーリング)が施工してあるのか、なかなかわかりづらいと思います。サイディングボードとサイディングボードの繋ぎ目部分は、ご存知と思いますが、その他に、軒天やベランダ上裏の取り合い部分や、入り隅、出隅部分の縦目地、サッシ廻りや出窓、換気扇のレンジフード廻りや幕板の天端部分などに施工されています。
こちらの写真は2階部分のサイディングボードと大屋根軒天の取り合い部分やサイディングボードの縦目地部分です。
サイディングボードと軒天の取り合は、建物の全周が40mあれば、取り合いも約40m位になります。下屋根もあれば、プラス数十mになります。
こちらの写真は、2階ベランダ部分です。
ベランダ内は複雑で案外メーター数が伸びます。サイディングボードと天井の取り合いや、入り隅、サッシ廻り、柱の出隅役物の縦目地などです。天井の取り合いなどは四方あるので、ベランダ二ヵ所では30m位になり、柱の出隅役物の縦目地などは、柱1ヵ所に付き、4面あるのでベランダ2ヵ所で20m位にはなります。これにサッシ廻り、入り隅などをプラスするとベランダ2ヵ所で80m位になります。
こちらの写真は2階外壁部分のコーキング(シーリング)施工です。
入り隅、サッシ廻り、出窓廻り、サイディングボードの継ぎ目部分、軒天の取り合い、ベランダ開口部など様々な個所にコーキング(シーリング)が施工されています。
こちらの写真は、上から下に向かって撮った写真でサイディングボードの繋ぎ目や、出隅とサイディングボードの繋ぎ目、入り隅などの縦目地です。
この縦目地が1階の下から2階の一番上まで通っています。約6mあるこの縦目地が、建物一周に12~15本位あります。この縦目地だけで70m~90m位になります。
こちらの写真は、この現場の写真ではありませんが、よく建物の上下で模様を変える場合に上下の模様の境目に施工してある幕板です。
この幕板の継ぎ目や天端も大事な所です。こちらも建物1週が40mあればこの幕板の天端も約40mになります。
こちらの写真は1階玄関廻りや1階のサッシ廻りなどです。
この建物でコーキング(シーリング)施工が合計約450mにもなりました。たまにコーキング(シーリング)工事を1式工事でビックリするくらい安い見積り価格を聞かされる時がありますが、サイディングボードの繋ぎ目だけの施工であったり、見える個所だけの施工であったりであり、この建物だけで、5人工+材料費+経費が掛かっているので、少なくてもそれだけの工事価格にはなります。
このように、ずっとお住まいの建物ですが普段目にすることが無いような所に風雨などから、気密性・水密性・防水性を保ってくれるコーキング(シーリング)が施工されています。窯業のサイディングボードの塗り替え改修工事では、上塗りにどんなに最高級な塗料を塗装するよりも、このコーキング(シーリング)工事が最も大事な工事になります。