カラーベスト屋根の塗装手順と注意点について
カラーベスト屋根の塗装手順について
ここでは、当社がカラーベスト屋根の標準的な「塗り替え塗装の施工工程」や「工程ごとの注意点」などを書いていきたいと思います。自宅のカラーベスト屋根の塗り替え時や、相見積りを取るときのご参考にしてください。
カラーベスト屋根塗装前
築約20年のカラーベスト屋根の塗り替え塗装をメインにして、各工程では、他のカラーベスト屋根の施工写真などを使って、ご説明いたします。
こちらの写真は、約20年を経過したカラーベスト屋根の施工前の写真です。
さすがに、カビ・コケがひどく、また、褪色も目立ち、ひび割れなどもある事から、今回塗り替え塗装に加え、雨樋(シビルスケアPC77)の交換に至りました。
カラーベスト屋根の洗浄
カラーベスト屋根の塗装工程で、最も重要工程の一つがこの高圧洗浄です。
高圧洗浄がなぜ重要かと言うと、上の写真でもわかるように経年劣化したカラーベストには、コケ・カビ・埃・砂などが屋根一面に覆っている上、旧塗膜が脆弱な砂地状になり、手でこすっても剥がれ落ちる様な状態です。
このカビ・コケ・埃・砂・旧塗膜などをキレイに取り除かないと、いくら良い塗料を塗装しても下地から塗膜剥離を起こす可能性が大きい為です。
この旧塗膜やカビ・コケ・埃・砂などを高圧洗浄機を使って、9.8MPa(100kgf/m2)以上の高圧で丁寧に洗浄していきます。
こちらの写真は、高圧洗浄でカビ・コケ・埃・旧塗膜・砂などが隣近所に飛散しないように、洗浄前にカラーベスト屋根を養生してカラーベストを高圧洗浄している様子です。
実際に当現場を、高圧洗浄した時の動画です。こちらもご参考にしてください。
こちらは、カラーベスト屋根の洗浄後、乾燥した屋根の写真です。
全てのカラーベスト屋根が、洗浄でここまでになる事は無いのですが、どのような種類の屋根塗装も、基本は屋根の高圧洗浄で出来るだけ丁寧にカビ・コケ・埃・砂・旧塗膜などを除去することが最も重要です。
板金ケレン 釘 錆び止め
カラーベスト屋根の棟包やケラバなどの板金塗装についてですが、こちらの写真のように真っ赤に錆が発生している場合があります。
まず、ケレンで錆を落とし、錆び止め塗装をするのですが、錆びていない箇所も当然、上塗りの密着性などを考え錆び止め塗装します。
次に、棟包板金を止めている「釘の浮き」についてですが、長年の風雨にさらされる事で、釘が浮き抜けかかっているような場合があります。
こちらの写真は、釘の浮き棟包板金が捲れかかっています。このまま放置しておくと貫板が完全に腐朽してしまい、強風や台風時に棟包板金が飛ばされるという事もあります。
※2018年9月に関西を襲った台風21号の時は、あちらこちらで棟包板金が飛ばされているカラーベスト屋根がありました。
また、雨漏れを原因になる事もあるので、築年数が10年を超える場合は定期的に屋根の点検をお勧めいたします。 (カラーベスト屋根の、棟からの雨漏れについては、こちらをご参考にしてください。)
こちらの写真は、ごくたまにあるのですが棟包板金を止めている釘が、通常横に打つところを天端に打ち込み、雨水が入らないようにコーキングで止水している場合です。
コーキングの経年劣化や釘浮きの為、釘を伝って雨水が貫板を腐朽させて、カラーベスト屋根の棟付近まで侵入していたと思われます。
この場合、現状の釘を打ち込み、新しくコーキングで止水するのも一つの考えで有りますが、今後の事も考え貫板から棟包板金など全て撤去・新設いたしました。
カラーベストの割れの補修
カラーベスト屋根の場合、カラーベストを全て釘を打ち込んで止めています。
数百という釘を打ち込んで、カラーベストを止めているため、中には施工時に最後まで打ち込まれていない少し浮いたままの釘があります。当然、釘は外からは見えないために、この浮いたままの釘を塗装時に踏んでしまうと、テコの原理で簡単にカラーベストが割れてしまう場合があります。
屋根全体を塗装する為、全体を踏み歩くので、中には塗装時に割ってしまう事もありますし、既に施工時に割れている場合もよくあります。
割れていても、適切な補修をすれば、特に問題は無いのです。どのような補修をするかは下記に記していきたいと思います。
最も大事なのは、釘を暴露させない事です。釘が暴露していると、上記の棟包板金で記したように、釘を伝って雨漏れの原因になり下地合板の腐朽などの原因になります。
簡単にコーキングで貼りあわせる様な補修では、数年後の台風やコーキングの経年劣化で割れたカラーベストが再び外れた場合、釘が暴露してしまいます。
こちらの写真は、浮いていた釘が原因で割れてしまったカラーベストの写真です。
浮いた釘は、ハンマーで打ち込んだ後、板金を差し込むことで、今後割れたカラーベストが再び無くなっても、板金が釘を隠してくれるので暴露することはありません。板金を差し込んだ後、割れたカラーベストをコーキングで補修し塗装します。ちょっとした手間ですが、大変大事な工程です。
カラーベスト屋根の下塗りについて
カラーベストの下塗りにつてですが、カラーベスト屋根の塗装工程で「高圧洗浄」に次いで大事なのが、この「下塗り」です。カラーベストは、吸水性が高く、旧塗膜がほとんど無い様な状態だと、防水性を全く期待できないだけでなく、カラーベスト素地に雨水が染み込みます。
という事は、最初に塗装する下塗り材(シーラー及びプライマーなど)も当然カラーベスト素地に浸み込みます。染み込んだ下塗り材(シーラー及びプライマーなど)はカラーベスト素地表面には、ほとんど残らない場合があります。
下塗り材を一度塗装して、下塗り材が染み込んでいた場合は、2度目の下塗りを塗装します。2度目でも染み込んだ箇所がある場合は、当然3度目の下塗り塗装をします。
よく見積もりにお伺いした時に「ペイント一番さんは、何度塗りするのですか?」という質問をされますが、一般的に皆さん、下塗り1度+上塗り2度塗りの計3度塗りなら、キッチリと塗装しているような感覚で、下塗り1度+上塗り1度の計2度塗りなら、その業者は手抜き業者という様な感覚であるのを感じますが、実はどの塗料メーカーも「下塗りと上塗り合わせて3度塗りで仕上げて下さい。」とは言っていません。
日本ペイントのカタログにも「シーラーはぬれ感が出るまでを目安にしてください。素地への吸い込み個所がある場合は、その部分を塗り増しして下さい」とあり、下塗り(シーラー及びプライマーなど)だけで3度塗装しないといけない場合があります。
こちらの写真は、カラーベスト屋根の施工前、高圧洗浄後、1回目の下塗り後、吸い込みが激しいので、2回目の下塗り塗装した写真です。
下塗りを2度して、ぬれ感が出ているので、ここまで下塗りをして、上塗り塗装出来る状態になりました。
当現場で実際に撮影した、下塗り動画です。こちらもご参考にして下さい。
下塗り(シーラー及びプライマーなど)塗装は、カラーベスト素地に下塗り材を吸い込ませ固める事で、脆弱になったカラーベスト基材を補強し上塗り塗料の密着性を高める為の工程です。
下塗り塗装不足の場合、いくら良い上塗り塗料を塗装しても、密着不良などの施工後のトラブルにつながる可能が高いです。
こちらの写真は施工前、高圧洗浄後、1回目の下塗り後、吸い込みが止まらないので、2回目の下塗り、まだ吸い込みが止まらないので、3回目の下塗り後の写真です。下塗りだけで3回塗装した例です。
上記の屋根塗装した際に、実際に下塗り塗装した時の動画です。
カラーベストの縁切りについて。
こちらの写真は雨漏れ防止や、通気性を確保するための、カラーベストの縁切りです。
セイム社のタスペーサーを、カラーベスト1枚に2ヵ所差し込み浮かせる事で、カラーベストの裏にまわった雨水や湿気を外に排出します。カラーベスト屋根塗装時には必ず必要な工程です。 カラーベスト屋根塗装時の縁切りについては、こちらで詳しく書いているので、こちらをご参考にしてください。
カラーベスト屋根の縁切りについては、こちらの動画もご参考にしてください。
上塗り
カラーベスト屋根の上塗りについて、当社ペイント一番では、カラーベスト屋根の上塗りには、よく、遮熱・断熱塗料の「ガイナ」をご提案しています。
理由は、カラーベスト屋根の場合、夏場は2階の部屋が暑くなり、冬場は結露で下地合板がダメージを受ける為、暑さ・寒さなどから屋根を守るのに最適だと考えるからです。
ガイナを建物の屋根・外壁に塗装するだけで、太陽光線から受ける影響の約95%を反射します。建物の天井・内壁に塗装すると、今まで外に逃げていた熱エネルギーの約60%を封じ込めます。
また、ガイナは特殊セラミックとアクリルシリコン樹脂をハイブリッドすることで、優れた耐久性を持ち一般塗料の2~3倍の寿命になります。
ペイント一番では、ガイナのカラーベスト屋根の塗装は、3回塗りを標準にしています。
基本的に1度目は色を替え、2度目、3度目の塗装を指定色で塗装します。
こちらの写真は、1度目のガイナ塗装は色を替えて塗装し、2度目は指定色のN-50を塗装、2度目の塗装後に、縁切りにセイム社の「タスペーサー」を施工し、3度目も指定色のN-50をガイナ塗装する事で、だれが見てもキッチリ3度塗装しているのがわかるように塗装しています。ガイナを3度塗装する事で、より遮熱性、断熱性を高め、住まいの住環境を高める事につながると思います。