カラーベスト屋根のメンテナンスや塗装時期について
カラーベスト(コロニアル)屋根の塗り替え塗装時期について
カラーベスト(コロニアル)とは
2004年以前の製造であれば、石綿(アスベスト)入りの可能性があり、2004年以降の製造であれば、ノンアスベストのスレート屋根材です。
屋根の構造的には簡単な作りで、施工性が良く安価に手に入り、また和瓦が1㎡当たり約50kgに対し、カラーベスト(コロニアル)屋根は約19kgと非常に軽く、美観性などにも優れていることから、近年は建売り住宅などに、よく使われている屋根材の一つです。
当社の屋根の塗り替えでは、このカラーベスト(コロニアル)瓦の塗り替えが70%以上になります。
こちらの写真は、屋根にカラーベストを使用した住宅です。(当社で遮熱・断熱塗料のガイナ塗装後)
カラーベスト(コロニアル)屋根の塗り替え塗装時期について
屋根は、外壁と違って普段あまり目にする事が無い為、なかなか状態が分かりづらいと思いますが、夏場のカラーベスト屋根の表面温度は70℃を越す事があり、また、凍てつく様な冬場に至っては、寒風に吹きさらされ凍りつくような過酷な場所です。
1年を通してこのような、過酷な環境に置かれているので、築年数が10年前後になるか、少し離れたところから屋根を見上げ、下記の状態があれば、そろそろメンテナンス(塗り替え塗装、カバー工法、葺き替えなど)の時期に差し掛かっているので、専門家に一度ご相談をお勧めいたします。
こちらの写真は2015年8月1日午前10:40分ごろに、奈良県生駒市で現地調査の際に撮影したカラーベスト屋根です。
1分と触っていられない位の温度になっています。夏場の屋根が、いかに過酷かであるかご理解いただけると思います。
カラーベスト屋根の屋根裏や施工
こちらの写真は、カラーベスト屋根の屋根裏や施工途中の写真です。
カラーベスト屋根の下地合板(コンパネ)は12mm、防水シートの厚みは約1mm、カラーベストの厚みは約5mm、カラーベストの重なり部分を考えても、屋根の厚みは約23mm位にしかなりません。
和瓦屋根の場合は、重いというデメリットがあるものの、土が断熱の役割を果たしてくれます。また、波形のセメント瓦などは波うっているので、空気層が出来る分、断熱効果が期待できますが、カラーベスト屋根の場合、ほとんど断熱や遮熱の期待が出来ないため、日中2階の部屋が暑くなるのは当然として、日中に暖められた屋根裏の空気が、夜になっても冷めることなく、夜間エアコンをかけても、なかなか部屋が冷めないという事に繋がります。
こちらの写真は2010年1月8日午前10:40分ごろに、奈良県生駒郡平群町で撮影した写真です。
最初の写真で、左側の白く見えるカラーベスト屋根は、西側で午前10:40分ごろでは太陽光が当たらずカラーベスト屋根が凍ったままの部分です。
右側の黒く見える面は、東側の面で当初凍っていましたが、太陽光が当たり溶けてカラーベストの表面が出ている写真です。
カラーベスト(コロニアル)のカビ、コケ
カラーベスト自体は、吸水性が高く表面防水の為の塗膜が劣化してしまうと、カラーベスト基材に雨水が染み込んでしまいます。表面にコケやカビが付着している状態は、表面の防水性能が低下しカラーベスト基材に湿気が常に溜まっている状態だと思われます。
吸水性が高くなったカラーベストは、吸水・乾燥を繰り返すことで反りかえります。冬場であれば、吸水したカラーベストは夜間に凍り膨張することで、カラーベストの欠け・割れ・ヒビなどの原因になります。
カラーベスト表面に、カビやコケなどが目立つようになると、一度専門家にご相談下さい。
こちらの写真は、カラーベスト屋根の北面のコケ、カビの生えた状態の写真です。
カラーベスト屋根の褪色
カラーベスト屋根の表面の防水は、新築時には工場でキッチリと管理された中で製造されていますが、経年劣化で砂地状なり、カラーベスト基材がむき出しになってしまっている場合があります。
このような状態の場合も、上記で記しているように、吸水性が高くなり、カラーベスト基材の反り・ひび割れ・欠けなどの原因になり、長く放置すると、カラーベスト基材が弱まってしまうので早急な対応が必要になります。
こちらの写真は、カラーベストの元色は黒ですが、経年劣化により黒色が褪色し、カラーベスト表面基材が剥き出しになっている写真です。
カラーベスト(コロニアル)屋根棟包板金釘の不具合など
カラーベスト屋根の基材以外にも、不具合による雨漏れや、その他のトラブルになる個所があります。
特にカラーベスト屋根の棟板金を止めている釘の不具合です。
和瓦屋根やモニエル瓦などの場合、棟やケラバなどには、それぞれ棟瓦、軒先瓦、ケラバ瓦などの専用の瓦がありますが、カラーベスト屋根の場合、全て板金で処理しています。
カラーベスト屋根の棟は、屋根の頂上部分に貫板を施工し、その上に棟包板金を被せ釘を打ち込んで止めています。長年、風雨にさらされているので、この釘が浮いて、棟包板金が緩んでしまい、棟包板金を止めている、貫板が腐朽してします事があります。貫板が腐朽することで、強風や台風時に棟包板金が飛ばされ、貫板を止めている釘穴から雨漏れを起こすことがあります。
下の写真は、カラーベスト屋根に、棟包板金を施工している写真と、スライドしていくと、強風で棟包板金を止めている釘が抜け、貫板が腐朽している写真になります。
下の写真は、棟包板金を止めている貫板の釘から雨漏れを起こした屋根の写真です。
カラーベストの場合のメンテナンスは、塗り替え塗装、金属瓦のカバー工法、新しい瓦の葺き替えなどがありますが、この屋根の場合、棟からの雨漏れで、腐朽した下地合板の補修までしなければいけなかったので、かなりの金額になりました。
不幸中の幸いだったのが、腐朽した下地合板を止めていた棟木が無事だった事です。これで棟木まで腐朽し、シロアリなどの被害があれば、補修するのにとんでもない金額になります。
カラーベスト(コロニアル)屋根の棟包板金の錆び
カラーベスト屋根の棟包板金が錆で真っ赤になっている場合があります。
当然このまま放置しておくと、さらに錆がひどくなり棟包板金に穴が開き、上記に記したような雨漏れなどの恐れもあり、また、メンテナンス時に棟包板金の解体、新設などのメンテナンス費用が発生する事にもなります。
少しでもこのような状態が見受けられた場合、早めに点検することをお勧めいたします。
下の写真はカラーベスト屋根の棟包板金に、錆が発生している写真です。
塗装ではメンテナンスが出来ないカラーベスト(コロニアル)
カラーベストの製造工程などにより、塗り替え塗装ではメンテナンスが出来ない、カラーベストがあります。建材にアスベスト使用が、禁止になる前後に、製造されたカラーベストで、抄造法という製造法で作られたカラーベストで、和紙を漉くように薄く何度も加圧成形を繰り返し製造された、アスベストを含まないノンアスベストのカラーベストで、よくあるトラブルとして、ひび割れや層間剥離などがあげられます。
下の写真は抄造法で製造されたカラーベスト屋根だと思われ、既に層間剥離が激しく、このまま塗り替え塗装したとしても、小口からの吸水での塗装後の剥離や、さらなる層間剥離が容易に想像出来ることから、金属瓦のスーパーガルテクトのカバー工法で施工することになりました。
下の写真は抄造法で製造された、カラーベストの層間剥離を起こしている現況写真です。