カラーベスト屋根に金属瓦のカバー工法(重ね葺き)について
カバー工法(重ね葺き)とは
カバー工法とは既存の屋根瓦の上に、金属瓦のような軽い瓦を、新しく葺く工法の事です。
重ね葺き工法などという事もあります。
以前は下の写真のように、カラーベスト屋根に、胴縁を施工し、コンパネ、金属瓦葺の、通気工法の施工が一般的でしたが、この工法だと、胴縁やコンパネを施工する分、建物に負担がかかり、また工期も長くなり、施工費が高くなるので、近年は各メーカーが、より簡易に施工できるように、カラーベスト屋根に直接、重ね葺き出来る商品を出すようになりました。
こちらの写真は2005年ごろの施工写真です。この通気工法の良い所は、ある程度の不陸調整が出来ることと、カラーベストとコンパネの間に空気層が出来る為、カバー工法よりも、より断熱性が上がり屋根下地コンパネの結露対策にもなります。
ロフト部分が施主様の趣味部屋にされているという事でしたが、7月の大変暑い時期ですが施工後は暑さが驚くくらいに緩和されたと大変喜んで頂きました。
カバー工法(重ね葺き)が出来ない屋根
カバー工法の場合、既存の屋根材の上に新しく瓦を葺くため、基本的に既存の屋根材は平坦でなくては施工出来ません。ですので、和瓦・モニエル瓦・セメント瓦などの屋根材は葺き替え工事になります。
こちらの写真は和瓦の葺き替え途中の瓦、土を撤去している写真です。
カバー工法(重ね葺き)出来ないもう一つが、既存屋根下地の劣化です。
カバー工法の場合、既存の屋根下地(コンパネ)に、新しく葺いた瓦を固定するビスを打ち込むため、屋根下地に雨漏れ等で腐朽している場合などはビスが効かないため、カバー工法でなく現状の瓦を撤去し腐朽した屋根下地を入れ替える「葺き替え工事」になります。
こちらの写真は、カラーベスト瓦とルーフィングを撤去した写真です。
10年位前の屋根塗装の際に、キッチリと縁切りしていないために所々屋根下地のコンパネが雨漏れの影響で腐朽していました。(カラーベスト屋根塗装時の縁切りについては、こちらをご参考にして下さい。)
本来は、屋根・外壁の塗装の見積もりにお伺いしましたが、屋根の点検中あまりにも下地が、ふわふわしていたので、屋根裏を見ると、雨漏れの跡や下地コンパネの腐朽が見受けられたので、塗装を断念し、葺き替えに変更になりました。
このような状況で、無理にカバー工法を施工しても、台風の直撃で屋根瓦が飛ばされる恐れもあるので、カバー工法(重ね葺き)を選択する際は施工業者とよく相談の上、採用して下さい。
塗装が出来なく「葺き替え」か「カバー工法」でしかメンテナンスが出来ない場合
このカラーベスト屋根の写真は、抄造法で製造されたカラーベストだと思われます。
屋根材に、アスベストが使用禁止になった初期のころに抄造法で製造されたカラーベストが、このように先端の小口などから、剥離してくる場合がありました。
ここまでひどいのはまれですが、この状態では塗装では無理なので「葺き替え」か「カバー工法」のどちらかの選択になります。
カバー工法(重ね葺き)のデメリット
デメリットは何と言っても、カバー工法(既存の屋根に新しい屋根を葺く)なので屋根が建てた時と比べて、重くなるという事です。
ただ当社が良く施工する、アイジー工業のスーパーガルテクトの場合、1㎡あたり約5㎏と非常に軽いので耐震的にも影響は軽微であると思われます。(70㎡の屋根で約350㎏ 70㎏の大人5人位の重さ)
カバー工法(重ね葺き)のメリット
カバー工法(重ね葺き)で、当社がよく使用するアイジー工業の「スーパーガルテクト」で施工すれば
コストパフォーマンスが高い
既存のカラーベストを撤去、廃棄する必要もなく、新しい「スーパーガルテクト」を上に乗せるだけの、カバー工法で施工するので、葺き替え工事に比べ、低価格で高耐久性の屋根材を施工出来ます。長い目で見ると、屋根塗装よりもコストパフォーマンスが高い工法です。
屋根の断熱性の向上
屋根が2重構造になる上に、スーパーガルテクトの心材に採用している「ポリイソシアヌレートフォーム」が優れた断熱性能を発揮します。
屋根の遮熱性能が向上
表面塗装の「遮熱性フッ素樹脂塗装/遮熱性ポリエステル樹脂塗装」により、大きな遮熱効果が発揮できます。太陽光の中には様々な波長の光が含まれていますが、その中には、熱エネルギーに変換されやすい赤外線が約50%含まれています。遮熱塗装は赤外線を反射する効果が大きい着色顔料を使用しているので、日射による屋根表面の温度上昇を抑制します。
屋根の遮音性の向上
実際の屋根を再現した模型に人工降雨機で雨を降らせ、屋外と室内にそれぞれ設置したマイクにて雨音を測定しました。鋼板とポリイソシアヌレートフォームの一体化により、雨量106mm/hの豪雨の雨音も、室内ではささやき声程度の雨音へと低減します。