サイディング外壁の塗装メンテナンスの必要性について
外壁サイディングボードはメンテナンスが必要
窯業系の外壁サイディングボードの事を、多くの住人の方は、メンテナンスフリーもしくはメンテナンス事態全く考えもつかないと思います。
ご近所で、同じ時期に建った家が塗装し始めたり、訪問販売業者などの営業マンにコーキングの劣化や、サイディングの浮きなど指摘されて、初めてご自宅のメンテナンスを考え始める方も多いと思います。
外壁サイディングボード自体の浮き、反り、塗膜の剥離、チョーキング現象、コケやカビ、汚れの付着、コーキングの劣化、サイディングボード自体のヒビ割れなどが見受けられたら、そろそろメンテナンスの時期と考えて差し障りは無いと思います。
以上のような劣化状況を放置すると、表面塗膜のメンテナンスでは済まなくなり、サイディングの基材まで劣化が進行する場合があります。また、防水塗装する場合は、劣化状況やサイディング下地にあった塗料を適切に選択しないと、後々塗膜剥離などのトラブルにつながる場合があるので、専門業者とよく相談の上ご検討してください。
サイディングとは
サイディングとは工場で成型された板状の外壁材で、窯業系、金属系、木質系などの材質による違いがあり、それぞれに厚みや、素材、表面に施されている塗装などにより、メンテナンスの仕方や使用される塗料の種類が変わってきます。
当社では、ほとんどが窯業系サイディングボードと金属系サイディングボードの塗り替えが占めるので、この2種類のサイディングボードの塗り替えの時の注意点などを取り上げたいと思います。
窯業系サイディングボードの塗装前の写真です。
窯業系サイディングボードの塗装後の写真です。
窯業系サイディングボードとは
窯業系サイディングボードとは、セメント材質を主として繊維質、混和材、水などを混ぜて、工場で成型された板状の外壁材です。石造り風やタイル柄、レンガ柄などデザイン性に優れているため、近年の住宅外壁に多く採用されています。表面に何も塗装されていない無塗装板の場合は家が建った後、現場塗装になりますが、近年工場でキッチリ塗装されたボードを、現場で組み立てる場合が圧倒的に多いです。
工場塗装の窯業系サイディングボードの場合でも、経年劣化が進むと、セメント材質の為、吸水性が非常に高いので、反りや浮きなどの症状が出る場合があり、コーキング(シール)の劣化など、傷み具合の程度により、適切なメンテナンスが必要になります。また、窯業系サイディングボードは、蓄熱性も高く適切な塗料を選択しないと熱膨れなどの症状が出る場合があるので、使用塗料の選択も大変重要です。
金属サイディングボードとは
金属系のサイディングボードの素材は、スチールやガルバニウム鋼板、アルミニウムの表面素地に工場でフッ素樹脂塗装などを施す事で、耐候性が高く、また、硬質ウレタンフォームを裏打ちすることで断熱性や、遮音性に優れている上、金属性なので非常に軽く、リフォームなどで外壁を塗装する代わりに、カバー工法で既存の外壁材の上に施工する事が出来ます。また、新築時に敷地が狭いため、隣との距離をとれない場合に将来的に外壁のメンテナンスが出来ないという前提で、耐久性の高いガルバニウム鋼板の金属サイディングを施工されている場合があります。
この場合、本来は塗装などのメンテナンスをした方が良いのですが、隣との距離が25cmにも満たない場合、足場を建てる事が出来ないため、手の施しようがありません。金属系サイディングの場合、ボードとボードの継ぎ目やサッシ廻りなどには、本来役物というボードと同じ素材で出来た専用の金物で施工しないといけないのですが、なぜか建売の金属系のサイディングボードのほとんどのサッシ廻りはコーキングで仕舞をしてあるので、将来的には雨漏れの原因になる可能性が高いので、必ずメンテナンス時にはコーキング処理が必要になります。※ガルバニウム鋼板とはアルミニウム55%含んだ亜鉛合金メッキ鋼板
モルタル外壁の施工前の戸建て住宅の写真です。
アルミの金属系サイディングでカバー工法メンテナンス施工後の写真です。
サイディングボード外壁の構造
サイディング外壁の構造は、近年では多くは通気工法で建築されていますが、築10年以前の建物は直貼り工法で建築されている場合もあります。
通気工法と直貼り工法の違い断面図をご覧ください。
通気工法断面図
直貼り工法断面図
通気工法は柱にコンパネを施工し、その上に透湿防水シートを張り、胴縁を施工しハットジョイナー、サイディング、コーキング(シーリング)という様な施工になり透湿防水シートとサイディングの間に通気層が出来るので、湿気が溜まりにくく、空気層が出来るので断熱効果が期待できます。
直貼り工法との違いは、直貼り工法の場合、胴縁が無く、透湿防水シートに直にサイディングを施工する為、サイディング裏側に回った雨水や湿気の抜ける所がほとんど無い為に、サイディングが湿気を含みトラブルの原因になる場合があります。
直貼り工法のサイディング外壁のコーキング(シーリング)材の経年劣化により、雨水がサイディング裏側に回り、サイディングの浮きが出来、建物内部の透湿防湿シートは、長年の雨水で、かなりの範囲が黄変に変色しています。黄変に変色しているのは、柱に止めているハットジョイナーのビスなどから、雨水がまわって、柱の色が染み出ているためだと思われます。当然、柱の腐食や白アリ被害の可能性があるので早急なメンテナンスが必要です。
サイディングボード外壁のメンテナンス時期について
シーリング部の目地部の剥離や断裂など
コーキング(シーリング)材は経年劣化により剥離や断裂、欠落などの症状が出てきます。サイディングボードのコーキング(シーリング)は、ボードの繋ぎ目や、サッシ廻りから雨水の浸入を止めている大事な個所です。このような症状を放置しておくと、サイディング外壁の基材自体が大きなダメージを負う場合もあります。
破断したコーキング
欠落したコーキング
サイディングの経年による反り・浮き
サイディングボードの表面は塗装が施されていますが、ボードの裏面や切口などには塗装が施されていない為、その部分に雨水や湿気などが触れると、サイディングボード自体は吸水性が非常に高いため、湿気を吸収してしまいます。ボードの繋ぎ目のコーキング(シーリング)材が切れる事で、雨水がボードの裏面に廻る事で湿気が溜まったり、切り口から雨水を吸水することで、ボード自体が常に、湿気を含んだり、乾燥したりを繰り返す事が、サイディングボードの反りやうねりの原因となります。
コーキング(シーリング)材の劣化はこのような症状の原因にもなるので、コーキング(シーリング)材の剥離などの症状が出てきた場合、早めに専門家にご相談下さい。
サイディング外壁の反り
サイディング外壁の浮き
こちらの写真は窯業系サイディングボードの切り口から、長い年月湿気を吸収し、サイディングボードの表面が基材ごと剥がれています。外壁全体がこのような症状にならない為にも、早めのメンテナンスが必要です。
サイディングボードの欠損
サイディングボードのヒビ割れがひどくなると、その部分が欠落し欠損となります。この場合は専用の補修材で補修することになりますが。元のデザイン柄を復元することは出来ません。
サイディング欠損画像
サイディング欠損補修
サイディング欠損補修部分塗装後
サイディング欠損画像
サイディング欠損補修
サイディング欠損補修部分塗装後
塗膜劣化(チョーキング)
チョーキング現象とは、風雨や特に太陽光の紫外線などで、塗装面の塗料に含まれる顔料が劣化し、粉状になり、手で触ると手にべったりと塗料の粉が付く状態である事。
チョーキング現象が出ると、塗装面の防水性が低下しているサインなので、そろそろ外壁の塗装時期に差し掛かっている一つの目安になります。
色褪せや変色
新築当初はつやがあり、綺麗な色だったのが、太陽光の紫外線などのダメージにより、だんだんと色艶が退行していき色褪せしていきます。
日の良く当たる所と、日のほとんど当たらない所を見比べて、色艶がかなり違って見えるようでしたら、そろそろメンテナンス時期に来ている一つの目安になります。
ひび割れ
窯業系サイディングボードの固定方法は、釘や金具によってがっちりと固定されている為、遊びがありません。地震などの揺れによって、釘やサッシ廻りなどに負担がかかってヒビが発生することが良くあります。
直貼り工法で施工されたサイディングボードによる剥離
直貼り工法で施工された、窯業サイディングボード外壁ですが、雨水や内部湿気がサイディング裏側の塗装してい無い面から吸水される事で、サイディング表面の基材まで劣化しています。
カビ、藻、コケ
サイディングボード表面の防水性が切れてくると、表面に湿気などが溜まりコケやカビなどの発生の原因となります。
塗装後の剥がれ(剥離、膨れ)
窯業系のサイディングボードは蓄熱性が高く、南側の面や西側の面などは特に塗膜が膨れたり剥がれてしまう場合があります。原因は西日などで、急激に温められた、外壁内や外壁裏面の湿気が、蒸発する時の、外に押し出す蒸気が、塗膜ごと押し出してしまう為です。
通常このような塗膜剥離など起こさないように、窯業系サイディングボードには、透湿性の高い塗料を塗装し、下地処理をしっかりとするのですが、この建物の場合は、サイディングの直貼り工法の上、以前塗装された塗装会社さんが、単層弾性塗材を使用されたのが原因だと思われます。単層弾性塗材は、透湿性を謳ってはいますが、価格が安い分、あまり透湿性は期待できないので、基本サイディング外壁には不向きな塗料です。